2011年8月31日水曜日

8月のTOCOMは大盛況

ゴールド、底堅い動きです。アジア市場では市場全体に様子見ムードが強かったこともあり積極的な動きは見られませんでした。TOCOMも特段目立った動きなく、晴海の某商社が大きなボリュームで取引してましたが、これはSCO絡みの動きでしょう。とにかく久々に静かでした。
その後、IMF公表データで7月にロシア中銀が4.42トン積み増したことが明らかになりましたが、既に折り込み済みの材料だったか、これにもマーケットは特段反応なし(その他では、コロンビアが同2.3トン増、カザフが3.11トン減、タジキスタンが1.19トン減)。ロンドン市場でもゴールドは1820ドル台中盤で推移が続いています。
引き続きNY市場で市場全体のセンチメントがどちらの方向に振れるかがポイントですが、基本的なファンダメンタルズがサポート方向にあるだけに、大きく崩れるような可能性は徐々に低下していくように思われます。月末に関連しLME非鉄はファンドの買いが指摘されていますが、この動きが貴金属市場に影響を及ぼすかどうか等にも注目して見ていきたいところです。


8月の国内取引所の各商品の出来高が発表されていました。
ゴールド(スタンダードコントラクト)の出来高、258万1114枚。前月比203%増、前年同月比だと361.32%増。
まぁそうなるでしょうね、活況でした。
貴金属全体でも前月比196%増、1-8月累計も前年同期比112%増と大きく持ち直しています。
でも国内商品全体で貴金属市場の比率が8月は約80%、コメは一部の海外投資家も動向を注目してましたし、他市場の今後の盛り上がりを期待したいところです。

あ、もちろん貴金属市場もこのまま9月も行って欲しいですね。

やはり堅調なマーケット

ゴールド、NY市場ではFOMC議事録公表受けさらに強含みの流れとなり、一時は1840ドルを伺う場面もありました。明けて31日のアジア市場ではTOCOMオープン前にやや売られたものの、その後やや値を戻し、現在1833ドル付近で推移。引き続き積極的に買い上げるような展開ではありませんが高値を売り向かう向きも少ないといったところでしょうか。
まだ何とも判断しづらい局面ながら、やはり金融緩和を期待するような流れが転換点をむかえたわけではなく、また株価も続伸したとはいえ日中乱高下を繰り返していることを考えると、市場が弱気の材料に反応しやすい(ゴールドに買いが集まりやすい)状況は続いていると判断すべきでしょう。
短期的には1865ドルあたりが次のレジスタンス、1800ドルがサポートになるのでしょうが、ボラティリティを考えるとあまり注目していても仕方ないかもしれないですね。


たまにはプラチナの話を。
上海金取引所のプラチナ、相変わらず活況です。
ドル建てプラチナ価格は高値圏でしたが、人民元高や金の活況も手伝ってか取引量は6000kg超え。
中国のPGMの取引環境はCPM(確かChina Platinum Corp. だったような…)が流通を一本化しているため基本的に投資家や実需家はBuy オンリーの動きになります。
最近はNYMEXのオプションマーケットが拡大しているものの、世界的な需給動向を考えれば大きな相場上昇を見込むのが難しいと考えていますが、実需絡みの買い、マーケットが小さいだけにこういった動きは引き続き注目を集めそうな気がします。

2011年8月30日火曜日

株価続伸、でゴールドも続伸

やっぱり強いのでしょうかゴールド。PMフィキシングに合わせNY市場では買い上げられ、1830ドル手前まで上昇。現在1824ドル付近。株価上昇局面で買われ、軟調に推移するなかでもまた買われるという、説明のつかない展開となるのでしょうか。
先ずはこのままボラティリティが低下傾向に入るのかどうかが目先のポイントとなりそうですが、金利の低位安定という流れが定着すれば再び大きく調整する可能性は低下していくだろうと考えています。

7月のゴールド輸出について、Reutersに記事が出てました。
日頃なかなか輸出データの記事なんて目にしないのですが、やはり最近ワイドショーでも取り上げられてしまうようなテーマですから作るんですね、こういう記事。
大体の内容は大方の予想では8月の輸出量は7月から大きく増加するだろう、ということ。
その理由として、多くの日本人は長期的な金利上昇が想定しがたい環境下においてゴールドを長期の投資商品として重視していない。というコメントを載せていました。
中東、東アジア勢が先高を見越して積極的なスクラップ供給を見送っているのとは対照的な動きですね。押したら買う、でもってプロフィットテイク出来る水準に来たら積極的に売りに回る。
「日本人が買い始めたら天井」、と少し前までよく言われてましたが、市場参加者の構造が大きく変わるなかで、こういったことも変わっていくんでしょうか。


それから、今さらですが当ブログのTwitterのアカウントを開きました。
http://twitter.com/goldsilver_gold
こちらも宜しくお願いいたします。

調整局面は終了か

ゴールド、NY市場で急落は回避です。1800ドルでは上値をおさえられているものの、明けて30日のアジア市場でも1790ドル台で底堅さを示す展開となっています。
前週末から続く世界的な景気回復を楽観する流れや週末のハリケーンによる被害が軽微だったことなども投資家のリスク許容姿勢の流れを助長したか株価はこの日も続伸。ダウインデックスは月初の水準を回復しています。
ゴールドは先週のバーナンキFRB議長講演で所謂QE3に対する言及がなかったことから大きく下げても不思議でないと思いましたが、やはり現状で市場に資金が大量に供給されていること、またこの状況が長期的に継続すると見込まれること、さらに今後のさらなる景況感悪化の可能性を払拭しきれないことを考えると、この先急激な相場上昇の可能性は徐々に低下するとしながらも長期的に資金の同市場への滞留、さらにマネーフローが向く展開も考えられるのではないでしょうか。
これまで指摘してきているように、今週前半の市場動向からある程度の相場の方向性が見える可能性があるだけに、これに注目すべき状況は変わらないでしょう。



実需関連のニュースをふたつ。
輸入通関統計というのは結構どこでも目にすることがありそうなので、今月は輸出統計を。
財務省 貿易統計によると、7月の金輸出量(未加工品)は6169キロで前月の1万1401キロから減少。
2月以来5ヶ月ぶり低水準となりました。東南アジア向け輸出(to マレーシアなど)が減ったほか、韓国向けなども最近のなかでは低い水準に。一方、英国向け(3352キロ)香港向け(1517キロ)などは引き続き高水準となっています。

インド最大のジュエリーメーカー、Rajesh Exports は今後3ヶ月におけるフェスティバルシーズン(11月末まで)の同国ゴールド販売量は金価格上昇にもかかわらず、前年比25%増の250トンになるとの見通しを示しています。
高値にもかかわらず販売は好調、その要因として

“When people are buying jewelry, their motive is investment.”

という理由を挙げています。
前週のある日の販売量が5月以来の高水準だったと某金融機関が指摘していましたが、さらなる相場上昇を見込んでフィジカル系のこういった買いが続くと、トレンドが大きく崩れなければさらにその加速度を増す要因になるかもしれません。

2011年8月29日月曜日

やはり株価続伸のなか上昇は困難か

ロンドン市場までは静かな動きでしたがゴールド、NY市場で大きく下げています。フィキシング、COMEXオープンに大きな売りが出て1800ドル割れまで棒下げ。株価続伸ではやはり safe haven を材料に高値を維持するのは難しいでしょうか。現在1785ドル付近。1775ドルを下回ると短期的にはテクニカル的にも持続的な上昇を見通すのが難しくなりそうです。

“We believe gold is an insurance policy against a rising probability of worsening global systemic risks and the recent price decline provides a buying opportunity,”

と某米系金融機関は週明けリリースしたレポートで指摘していますが、さてどうなるでしょうか。



Yahoo!のニュースヘッドラインに出てましたが、押し売りならぬ "押し買い" って言う行動が問題になってるんですね。田中貴金属の「Re: TANAKA」とかTVCMやってますが、こういうのがもっと知名度上がるにはどうしたらいいんでしょうね。もどかしい気分です。

午後も小動き

週明けのアジア市場、ゴールドは中盤以降も目立った動きはありませんでした。ロンドン勢も慌てて売ってくる向きも少ないようで、このまま確りの展開が続くでしょうか。シルバーやプラチナもゴールドが小動きのなかで大きな動きは見られていません。
結構タイミングを待ってる投資家の方もいそうな気がしますが、ゴールド:プラチナの価格差はなかなか同値-逆転までとはいきませんね。

TOCOMゴールドは新甫へのポジションロールがあったみたいですね。売買上位に久々に商社が名を連ねてました。にしても赤坂の某商社は発会初日、2日目くらいによくポジション大きく動かしますね。
繰り返し指摘してますが、例えば2円値差で先限にポジション飛ばしていっても、オーソドックスにロコロンドンのポジションをフルヘッジしているとしれば実質的にほとんど利益出ないんで、あまりやりたくない局面だと思われるんですが・・・。1円のスプレッドでも大量のオーダーで取りに行けば2000枚なら手数料考慮しなければ200万儲かると考えれば、オーダーを大量に並べるってのも理解はできるんですけど、皆で利益の機会を損してるような気がしてなりません。

そういえば、TOCOMのHPに載ってましたが、来月に取引所らが主催する投資家イベントがあるようです。トークテーマはコメとゴールド、まさにタイムリーですね。
パネラーが豊島氏に亀井氏、さらにブルースとあってはマクロエコノミックな話に加え相場観は強気の話になるんじゃないでしょうか、分かりませんけど。
LME weekやCOMEX Copper week、COMEX Gold dinnerやPlatinum dinner etc... 海外のマーケットは市場参加者呼んで毎年盛大にお祭りやってますが、個人投資家さんをメインプレイヤーでやっていくのならこういう機会はもっとあればいいのに、と思います。

急落は回避

アジア市場、ゴールドは序盤は売り優勢となり安値は、1712ドル付近まで下げました。このまま急落も有るか、と思いましたが下げ止まった後は午後にかけて再び1820ドルレベルまで切り返してきました。やはり前週末に大方の予想に反して急騰したことでフィジカル勢らは売りから入った模様でしたし、TOCOMもサーキットブレーカーで始まった後はやや割高感が解消したことから商社も少し外のマーケットを売ったようです。ちなみにTOCOMは新甫発会でしたね。相変わらず期先2限月は寄付直後からSCOのマイナス2、3円に大量のオーダーが入ってるようですが…。
しかし、ここで下げ止まったということで今日のロンドン勢が売り姿勢を強めなければ再び堅調な流れが再開しそうな気もしてきます。今週前半の動きが注目ですが、先ずはどんなアクションが見られるでしょうか。


Forbesに「ゴールドはバブルか?」という記事がありました。
90年代のIT株や、00年代の不動産のように行き過ぎれば調整する、という内容。
S&Pなどとの比較もなかなか面白いアプローチだと思います。
http://www.forbes.com/sites/feeonlyplanner/2011/08/28/gold-bubble-or-not/?feed=rss_home

さて、アジア市場は

前週末のNY市場で再び急騰したゴールドですが、明けて29日の早朝のアジア市場ではやや売られています。TOCOMオープン前で現在1823ドル付近。5年前なら5ドル動いただけでも結構な騒ぎだった筈なのに、今週も値動き大きく振り回される展開となるでしょうか。
週末のハリケーン襲来の影響が懸念されたCMEも通常通り取引再開されていますね。



独CDU幹部が南欧の危機に見舞われている国々が保有する金の一部を売却すべきだと同国経済誌にコメント、という記事が出てました。ドイツが本当に3000トン以上の金準備を保有しているのか、というのも様々な憶測が飛び交うように訝しいですが、こういうこというとまたその議論が再燃しそうですね。

週末のBloomberg日本語版の記事にも少し記事になってましたが、26日にリリースされたBarclaysのレポート内容を少しご紹介。
先週のゴールドの急落について、金ETF25種の残高が1週間で56トンも減少したという点を指摘しながらも、8月を通じて見ればまだトータルで前月比ではプラスである。また最近のCOMEXのゴールドのファンド勢のポジション動向に関して、23日時点では前週からネットロングは縮小しており、取組高に占める比率も36%(前週は51%)と、「行き過ぎた水準ではない」と指摘しています。
短期的に大きく反発したものの、相場見通しは引き続き慎重であるべき、としながらも中期タームの見通しは強気だとし、その上で12年のゴールド相場は平均2000ドルに達するだろう、という見通しを示しています。まぁ大きく動じる必要なし、といったところでしょうか。

2011年8月28日日曜日

東工取は活況だろうか

週末の日経に「8月の金取引売買高、5年ぶり高水準」という記事が載ってました。
26日までの8月の1日平均売買高が11万2690枚と前月比8割増え、06年7月以来、約5年ぶりの高水準に。TOCM先物売買高にゴールドが占めるシェアは過去2年4~5割だったが、今月は約7割にまで高まっている、とのこと。
ただ活況ですね、と素直に喜べないこととして、ボラティリティが上昇するなかでHFTが取引量自体を増やしているものの、建玉は増えておらず、前週末時点での総取組高は11万9726枚と年初来の高水準だった6月に比べても1割少ないことを指摘しています。

こういう記事を読んでも、過去との比較は確かに重要ですが、取引時間や形態が大きく変わってしまっている以上、その数字だけで何かを見ようとするのは難しいのではないかと考えてしまいます。
最早ひと昔前のように個人投資家の方が100枚、1000枚という単位で成行注文を出せば、それで商品会社が100万、1000万円の手数料を得られるという状況ではないのですから。商品ファンドなどもジリ貧の様相ですが、こういった市場等を介して長期滞留する資金流入を図る動きを業界全体で活性化するなどの新たな流れが出て来て欲しいものだと思うばかりです。

【中央銀行は強力なバイヤーか】
最近、マーケットのアップサイドのモメンタムがさらに加速度を増すなかで、中央銀行がこの水準でもバイヤーだろう、という見方をよく耳にします。
でも、07年Q4の時点で2万6642トンだった各国合計(IMF、BIS等以外)の保有金準備、足許で発表されている時点で2万7372トンと1000トンも増えてないんですね。これにはIMF等から買った金準備も含まれていることを考えると、確かに昨今のファンダメンタルズを考えれば今後も継続的な買いが見込まれ、それも一度に数万オンス単位を市中で買ってくれば強力でしょうが、30トン、50トンととんでもない大きさの買いがなければ、それでもインパクトとしては金ETFと同程度くらいと見ていていい気がするのですが。

2011年8月27日土曜日

CFTC COTR 23-Aug11

ゴールド、急騰しています。注目されたバーナンキFRB議長のジャクソンホールの講演はそこそこ楽観的な内容。注目されたQE3への言及はありませんでしたが、これを受けて市場はリスク許容度が高まりNY市場では株価などが上昇するなかで、最近の流れに反するようにゴールドにも買いが集まりました。午後にかけて一本調子の上昇相場を形成し、クローズは1830ドル。もはや下げた分の半分近くを取り戻した格好です。
リスク選考の流れのなかでも買いが入るとすると、短期的な急騰後も基調は意外に強いものになるかもしれません。押し目は買い、という流れはもう少し続きそうな気がします。


【CFTC CoTR as of 23-Aug11】
さて、週末発表されたCoTRによると、COMEXゴールドの非当業者のネットロングは前週比でさらに減少。20万枚を下回りました。ロングが減ってショートが増えたという構図。その後の急落でこのポジション、さらに大きく動いていそうな気がしますが、週末の急騰で結局来週の報告はあまり変化なし、みたいなことにもなりそうな・・・。
ノーチェックでしたが、オプションコンバインドだとついに取組高が100万枚を上回っているのですね。
7月初旬には70万枚程度だったのに、急激な相場上昇の背景でオプションへの関心が急速に高まっているのが分かります。




















2011年8月26日金曜日

材料待ちのなか、ジリジリ上昇

ゴールド、アジア市場は予想通り小動きでした。総じて1770-1780ドルのレンジワークで、10ドルのレンジを小動きと言っていいのかという疑問はありますが、引き続きインドなどのフィジカル絡みの買いは見られた模様ながらもやはりこれが相場を大きく押し上げる展開とはなっていません。
その後、ロンドン勢が出て来た東京時間夕方からはやや買いが活発となり、高値では一時的にスポットベースで1790ドルを上回る場面も見られています。積極的に売る材料がない以上、やはりジャクソンホールの講演が終わるまでは株価が急な上昇でもしない限りはこの後もじりじりと水準を上げて行くような気がします。さて、どうなるでしょうか。

TOCOMは昨日に続き小規模ながら買い進む動きがあったようですが、相変わらずプロップファームがバタバタとアルゴリズムというか活発なプログラム売買をしているだけの状況。これを凌駕するような個人投資家らの動きがない以上、対外価格が割高・割安になるわけでもなく、特筆すべき材料に乏しい状況が続いています。
先限の取組高8.5万枚に対して出来高12万枚。商社等の売り玉が4万枚程度ですから、何回転してるんでしょう、これ。ゴールドのSCOのオーダー、本当に何とか状況変わらないものですかね・・・。

急落後の反発

NY市場、株安の流れを受けて午後にかけてゴールドは買われ終わってみれば1765ドル付近まで反発。まだまだ乱高下が続いています。
今週のテーマとなっている26日のジャクソンホールでのバーナンキFRB講演を前に、ヨーロッパでは今月に期限付きで導入した株の空売り禁止について、フランスとイタリア、スペインは措置の延長(スペイン、イタリアは9月末まで、フランスは11月まで)をそれぞれ発表。これをきっかけに欧州株式市場が一時パニック相場の様相を呈したことや、NY市場では朝方発表された新規失業保険申請者数が悪い内容だったこともあり、再び質への逃避とも取れる動きが活発となったようです。

とりあえず昨日のマーケットは根本的な市場のファンダメンタルズが改善されていない以上、悪い材料が出現すれば投資家のリスク許容の流れは容易に反転しうるということを示す動きといえるのでしょう。

そして、明けて26日のアジア市場。安値からは大きく切り返したものの、序盤は戻りを売りに来る動きは限られています。アジアのフィジカル勢はこの水準なら静かでしょうか。今週1850ドルオーバーの超高値圏でも需要期を前に本当の意味での現物需要からインド勢の買いが見られましたが、基本的には押し目で買ってくるという見方でいいような気がします。
序盤に大きな展開がなければ、NY市場までは様子見ムードが強まる可能性も考えられそうですね。


引き続き各社このタイミングで相場予想を訂正しています。
ABNアムロによる新しい見通しをご紹介。
ゴールドの来月の予想取引レンジは1830-1940ドル
来年以降の長期の相場見通しはアベレージで12年が1981ドル、13年2160ドル、14年2219ドル
そして15年2253ドル、とのこと。

マンスリーレポートがフリーで読めるのでご興味あれば。ご参考までに
http://www.virtualmetals.co.uk/index.php?inc=products&id=cp1

2011年8月25日木曜日

1700ドル割れ回避から反発

ロンドン市場、今日も売る気満々といった調子でした。どうやら仕掛け的な動きもあったようでゴールドは中盤には1700ドル割れを試す場面も見られました。ただ、この水準では下値を拾う向きもあり、NYオープンを前に安値から今度は30ドル近く切り返しています。相変わらず荒っぽい値動き。
買い場探しという状況だと思いますが、ちょっと買われると簡単に1ドル、2ドルは動いてしまうだけにタイミングが難しい局面。さてこの後のNY市場、引き続き "ahead of Jackson hole"のなかで前日のように楽観的な見方が市場を支配し、ゴールドはこの水準からさらに売られるのか、注目です。


何か金融機関各社がこぞってゴールドの価格見通しを引き上げてますが、またいくつかをご紹介。
来年の相場見通しについて、ANZは2200ドルまでの上昇もあるんじゃないかと指摘しています。
またBNPパリバはアベレージで2080ドルと、なんと従来の1600ドルから一気に500ドル近く上方修正。現在のトレンドはFedが金融引き締めを開始する13年まで続くだろうとしています。まぁ言うまでもなく、どこの予想も基本的には同じ方向を見ています。

TOCOMの投資家ロングはほぼ横ばい

Gold’s roller-coaster price action has stabilised. といったところでしょうか。
引き続き利益確定売りなのか投げなのか、はたまた新規売りなのか分かりませんが、小口の売りがロンドン勢が出て来た日本時間PM3時過ぎくらいからはやや優勢となっているものの、今日の売りはここからさらに大きく水準を下げるような動きにはつながらないように見えます。
しかしTOCOM、ゴールドは日中取引の出来高が先限で7万枚超、全体でも9万枚と相変わらず活況ですが220円超の急落にもかかわらず非当業者のロングはほとんど減らなかったですね。さほど強い買い気ではないものの、押し目で買いが入っているようです。
非当業者の委託玉のロングは10万3728枚(前日比1600枚減)、一方で所謂商社等のショートは前日から1818枚増加しています。

特に材料となりそうなトピックもないですが、南アのインパラ6月末までの11年度の報告書を発表しています。
決算内容についてはほぼ市場予想通りの内容だったようですが、生産はGross refined productionでプラチナが前年度比5.5%増の183.6万オンスと増加。RustembergやZimplatsのオペレーションが寄与したとのこと。一方、パラは119.2万オンスと同3.8%減少しています。

Gold prices are not in ‘Bubble Territory’

現在のゴールド急騰はバブルじゃないぞ、という意見をひとつ。
昨日のBloombergでRoss Norman氏が話してました。
ファンダメンタルズや需給要因に見合う水準、バブルなら2000ドルも上回っているよ、とのこと。
まだ上昇相場は続くとの見方です。

彼とも久しく会ってないなぁ

バブルは弾けたのか

ゴールド、予想外に早いタイミングで大きな調整局面をむかえました。
NY市場では昼前からまさに急落という商状となり、結局1750ドル水準まで下落。わずか2日で8月上旬からの上げをすべて打ち消した格好です。
金融市場安定化への楽観的見方が広がったことが背景に加えて、COMEXは一気に最大27%もマージンを引き上げたのが流石に聞いた模様で、一時は数ドル程度はお構いなしといった具合で大きなロットで売りが入ったりしていました。やはり高値掴みのロングの投げが下げ幅拡大に大きく関係しているものと思われます。
しかし、これで各金融機関のアナリスト諸氏も面目躍如といったところでしょうか。足許で急上昇していたボラティリティを考えると、高値圏特有の不安定な相場とはいえデイリー90ドル程度の乱高下は想定されていたとはいえ、実際に現実のものとなるとやはり相場はパニックを起こします。

また、ゴールドETFも昨日は大きく持ち高を減らしており、SPDRの現物金保有量は1232.3トンと、前日の1259.57トンから減少。1日の減少幅としては過去7ヶ月で最大だったとのこと。昨日はフューチャーに限らず、各市場から売りが出ていたことを示すデータといえるでしょう。
すでにGeorge Soros氏やEric Mindich氏らQ2に持ち高を減らしているのが明らかとなっていますが、こういうタイミングでPauson&Co.とか売り抜けてるのが明らかになったら一気に暴落とかもあるんでしょうね、きっと。

明けて25日のアジア市場は今のところ小動き。引き続き1750ドル付近での推移が続いています。
相変わらず下げる局面ではフィジカル関係からの買いが下支え要因となっている模様であり、また急落下にもかかわらずTOCOMも個人投資家らの買い気が大きく落ち込んでいないことからも大きく売られる展開とはなりにくい状況のようです。
基本的に大きなトレンドとしては、まだ転換点をむかえたと考えるのは難しい局面であり、再び金融市場の不安感が高まれば大きく買い進まれる可能性がある状況に大きな変化はないと思っています。現在の水準付近で値固めできるかどうか、週末の一大イベントを前に先ずは一つのポイントになりそうです。

ちなみに25日からSHFEでもマージン引き上げられます。

2011年8月24日水曜日

彼女の見方

昨日書いたUBSのゴールド相場の見通し、BloombergにEdelが出てました。
"Central banks have been “active buyers” of gold in recent months"  ですから。
押し目は買いの好機、向こう数ヶ月に2100ドルもあるかも、とのこと。



上半期のゴールド輸出量

ゴールド、小緩んだもののアジア市場では大きく動きませんね。やはり瞬間風速とはいえ高値から見れば70-80ドル近く下げているだけに、この水準だと押し目を拾う向きもあるということでしょう。
今朝のScotia Mocattaのレポート見ていたらテクニカルのサポートラインとして短期的には先週の高値、長期的には先週の安値を指摘してました。明らかなOverbought situationなだけにこういう解説しかできないですよね、やはり。

先日の日経にゴールドの価格が上昇するなかで国内からの輸出量が増えている、といった記事がありました。気になったので少し調べてみたのですが、所謂未加工品に限れば金の輸出量は前年と比べてみても、そう大きな差はないんですね。(下記参照)


 



まぁ周辺諸国が揃って金準備を増やしてる最中に前年比ほぼ同量を輸出していることに注目することは理解できますが・・・。
ただ、宝飾・工業品に代表されるような投資以外での需要について、国内での売れ行き、流通が滞れば決算月に国内商社は余計な在庫(管理コストや在庫評価等の問題があるので)を抱えるのを嫌がり、ロケーションスワップなり、Loco Londonのメタルアカウントへの直接持ち込みなどの方法で在庫量を絞るので、仕方ない面も大きいのですが。



ご参考までに。今週に入りUBS以外にもCitiが長期のゴールドの見通しを上方修正してました。

“We have increased our gold price forecasts to accommodate the impact that global financial tension is having on the metal now, and probably will have for the next 12 months. However, we expect those tensions and concerns to dissipate over time and do not believe that jewelry demand (which can be quite price sensitive) will be able to make up for the loss of investment demand when sovereign financial tension eases. For that reason we are forecasting gold to decline during the 2013-2015 period,”

だそうです。ちなみに見通しは

Citigroup analysts raised their estimates for gold prices to $1,650 an ounce on an average price for 2012.
By 2013 the bank sees gold prices averaging $1,500, 2014 prices are seen averaging $1,350 and in 2015 prices are seen at $1,250.

だそうです。やはり長期的にはベアとの見方。
もう5年ぐらいこんな見方がコンセンサスになってますね。価格水準はどんどん引き上がり、下落のタイミングもどんどん後ろにずれ込んでますが(笑)

一旦は調整

ゴールド、ようやく一旦は調整局面でしょうか。NY市場終盤にゴールドは大きく下げ1840ドル付近出推移しています。流石にこの水準ではまたアジア勢のフィジカルから買いが入りそうな気がしますが、Focus is on Jackson Hole and QE3といった具合で市場全体が26日のバーナンキFRB議長の講演ならびにQE3を期待するなかで、懸念された中国PMIが予想以上に強い数字だったことからやや楽観ムードが広がり株価や主要コモディティは上昇。これを受けて昨日のマーケットでゴールドにはまとまった量の利食い売りと見られる動きが入ったようです。
明けてアジア市場でも続落するかと思いましたが、底堅さを見せているところを見ると、どうやら急落は免れそうな気がします。トレンドが極めて鮮明となっている以上「押し目は買い」が変わらないのでしょうが、やはり26日のイベントを経過するまでは大きくポジション動かしづらい局面ではないでしょうか。


その他のニュースでは、US Mintが再びゴールドコインの販売を一時停止したとのこと。
急激な金価格上昇が背景ということですが、8月はすでに9.1万オンスも販売量で、5月以来の高水準。シルバーもこのまま行けば2ヶ月ぶりに販売量が300万オンスを上回りそうな勢いと高値圏にあっても相変わらずコイン需要は好調のようです。


また、スイスのPGMの先月の通関統計も公表されています。

Switzerland imported 2,652 kg of platinum and 1,323 kg of palladium in July, data from the Swiss Federal Customs office showed on Tuesday. Month Prvs Month Platinum Imports, in kg 2652.6883 Platinum Exports, in kg 3583.8225 Palladium Imports, in kg 1323.5601 Palladium Exports, in kg 1829.3345 Data for previous month is as originally reported

先月はPt、Pdともにネット輸出となっています。

2011年8月23日火曜日

横並びの相場見通し

kitcoのビデオニュースでもコレクションがあれば深く押すかもしれない、みたいなニュースが出てますね。アジアマーケットのオープン前に急騰したゴールドですが、その後は1900ドルを挟んでのトレードが続き、ロンドンにマーケットが移ってからは売られて1875ドル付近まで下落。基本的には先ほども書いたように、ジャクソンホールでのバーナンキFRB議長の講演待ちのムードが強いだけにさらに悪材料が出ない限りこの水準からは流石に大きくあげるのは難しくなってきたように感じます。
同様にアジア株はそろって反発、米国株も先物は現在前日比プラスで推移するなかで、これがきっかけとなり一旦は調整色を強めるに至るのか、というのも見極めが難しい局面。逆張り気味にポジションをショートに転じるのもまだ時期尚早でしょう、きっと。

そういえば、ANZ(ANZ China)がSHFEゴールドのトレーディングを開始すると声明を発表しています。これはHSBCに続き2行目。中国市場はスポットがメインマーケットとなっているだけに当局としても流動性を高めたいんでしょうきっと。
外貨規制等々が大きな問題として残りますが、徐々に門戸が開かれれば、他にも参加したいと言ってた金融機関ありますし、向こう数年の間に一気に市場規模が拡大するかもしれません。


それから、こんなニュースも。

Swiss investment bank UBS upped its gold price forecast Tuesday, saying it expects gold to exceed $2,000 a troy ounce before year-end but cautioning that a correction to the market’s impressive rally looks increasingly possible.
Less than three weeks since it last revised its price forecast, the bank said it now sees one-month gold at $1,950/oz, up from $1,725/oz previously, and three-month gold at $2,100/oz from $1,850/oz previously. Silver also upped its price forecasts, with one-month prices of $46/oz from $35/oz and three-month prices of $50/oz from $33/oz previously.

“We think gold has enough momentum currently to travel north of $2,000/oz before year-end, but we caution that some volatile price moves–both to the upside and the downside–lie ahead,”

個人的にこちらのストラテジストとは旧知の仲なので、「またかよ」って感じなのですが
見通しはもう、本当に皆横並びですね。要はどうなるか分からない、という(笑)

ゴールド、あっさり1900ドル突破

週明けのNY市場でゴールドはさらに上昇。朝方やや売られる場面もあったものの、もはや節目ともいえない1900ドルのレベルをあっさりと上抜いています。夜間取引で先物が上昇していた株価が終盤、ゴールドマンのニュースなどを材料に金融株を中心に下落に転じたこと(GS株は4.7%下落し09年3月以来の安値、BOAも7%超下落)などからゴールドはCOMEXクローズ後に買われています。
兎にも角にも今週の市場の注目はジャクソンホールで26日に開催されるバーナンキ米FRB議長による講演であり、同イベントを消化するまでは不安定な相場模様が続きそうな予感。
さらなる追加緩和の可能性やFedがオペレーションツイスト実施するんじゃないかといった憶測まで飛び出していますが、さてどうなるでしょう。

その後の株式市場クローズ後、アジア市場オープン前にはさらに値を飛ばし、COMEXは一時1917ドルまで上昇。ただ、その後は徐々に地合いを軟化しており、東京時間AM10時過ぎには1900ドルを下回るまで水準を下げています。

Gold has pushed to a new record high amid concerns that the US and Eurozone economies might enter recession. Although physical selling has emerged in Asian markets, this has not been enough to stem gold’s upward momentum. Short term, we believe that gold should find support on dips and move higher — physical demand is strong on price dips but falls away on price rallies. Our strategic view remains unchanged: we continue to believe that gold will push higher into 2012.

昨日出ていたとある金融機関のレポートですが、上述の通りアジアのフィジカル勢は押し目での買い意欲はあるものの、流石にこの水準までくるとセラーサイドに回るようです。今朝の下げもこういった要因が一端を担っているのでしょう。
しかし最近発行されたレポート読んでると、各社とも短期的に調整局面入りは不可避、みたいな書き方しながらも来年までは現在のブル相場は継続、といった感じで結論はどこも同じ感じですね。

2011年8月22日月曜日

金は売りごろ、だろうか

それにしてもゴールドは荒っぽい値動きが続いています。朝方から強含みの流れを汲み堅調に始まったロンドン市場はメルケル独首相が債務危機の解決手段としてユーロ共同債を導入する案に反対を表明。金融市場が政策決定を左右することを許さないと言明したことでまたまた吹き上がり、COMEX、スポット相場はともに一時1890ドルまで水準を切り上げました。
ただ、その後は米国株が夜間で先物が堅調推移となっていることなどを背景に徐々に地合を軟化しており、約4時間下げ続ける展開。安値では1860ドル割れまでほぼ一本調子に下落した後、足許では1860ドル台前半で値固めし、どうやら再び上昇に転じ始めた模様。本日のNY市場も米国株など金融市場の動向に振らされながら、大きな値動きは続きそうな予感です。

何しろ相当に行き過ぎた相場のため下げ始めたらどこまで下げるかイメージしづらいですが、基本的に市場全体のセンチメントが劇的に好転していない以上、明らかにオーバーヴァリューの状況ながらも下押す局面では、「押し目は買い」が鉄則なんでしょう。短期的な棒上げ商状が一旦は終局を迎えるとすれば、ここから先はエントリーのタイミングを見極める局面へ移行でしょうか。


【雑観】
TOCOMのゴールド、出来高増えてます。日中取引で先限だけでも6万枚も出来高があるとトレードしてても流動性があって楽しいんですが、デイリーで公表されている売買上位10社の動向を見ると、上位を占めているのは山前、AST、KFT・・・とプロップトレードばかり。ドットやニューエッジにしても純粋にブローカーとしてのポジションがどれくらいあるのかと考えると、残念ながらこれだけお祭り商状にもかかわらず国内投資家のマインドが大きく高まる機運は見られないようです。
まぁ最近ワイドショーなどでも金価格上昇、なんてテーマが面白おかしく取り上げられてますが、基本的に「タンスに眠ってる宝飾品の売り頃ですよ」なんて全く先高を見据えていない報道してますし、こういうところからマインド変えなきゃいけないんでしょうね。

今後の相場見通し

プラチナ相場、3年ぶりの高値水準まで上昇しています。足許のbidが1885ドル、期待薄ながらTOCOMの動向次第では1900ドル台も一気にありそうですが、さてどうなるでしょう。
しかし、ゴールドが上値追い真っ最中とはいえ、NUMによるインプラッツの賃上げ提示拒否くらいしか目下買い材料と思われる材料が見当たらないなかでプラチナの堅調さが目につきます。
非鉄市場以上にフィジカルのコンディションを考えれば上がるもはや上昇の余地などほとんどないように思えるんですが、TOCOMが相変わらずコンタンゴで推移していることに加えて、ゴールド同様NYMEXのオプションの取組高が一貫して増加傾向にあることを見ても、市場全体で先高観が強いようです。

NY市場のオプション、ということで思い出しました。最近読んだ某金融機関のレポートより。

Previously, we had been anticipating an average spot gold price by year end of $1800 per oz, with
spot flirtations toward $2000 per oz. Following the S&P downgrade of the US sovereign credit rating, we raised these expectations sharply, noting that spot gold could now go to $2500 per oz or higher by year end. (中略) Confirmation of the new regime arrived nearly immediately, as the premia for out-of-the-money call options surged last week. The cost of $2500 calls on CMX Dec-11 gold, for example, increased from $0.50 to $8.50 per oz in 6 days. Those calls closed yesterday at $3.30 per oz and are now trading around $5.50 per oz, as we go to press. The range of potential prices implied by options premia suggests the upside has opened by at least several hundred dollars per ounce.

 Importantly, the premia also suggest that gold prices can and will experience violent up and down moves over the next few months.

だそうです。極端なマーケットの時はこういうレポート読むのも興味深いですね。

ちなみに足許で上昇傾向のボラティリティを勘案し、2500ドルにタッチするには仮に年末に同水準に達するとして残り営業日95日では、7.45ドル/日の上昇が必要との計算らしいです。

今朝も上昇

週明けのマーケットはシドニーオープン、というかCOMEXオープンとともに例のごとく強い買い気が見られ、薄商いの日本時間AM8時前には1875ドル超えまでスポットは前週末のNYクローズから一気に15ドル超の急騰。アジア市場オープンで一気に1900ドル台も伺うかと思いましたが、その後は一段落といったところでしょうか。9時過ぎの時点では1868ドル付近で推移しております。
相変わらず市場が不安定ななかでUSD/JPYは円高対策を注視してか、朝方からポジションの巻き戻しが続いていますが、ベースとなるファンダメンタルズに劇的な改善がなければやはりゴールド、まだまだ本格的な調整局面入りは遠いのではないでしょうか。過度に強気になるところではないですが、上値追い、継続でしょうか。

さて、先週末に出ていたニュースによると、ロシアは7月に3.1トンの金準備積み増しを実施したとのこと。状況が状況だけに、っていう気もしますが高値でもどんどん買いますね、やはりあの国。
周知の事実ですが、CBGA自体がここに来て形骸化しつつあるように、かつては高値でバンバン売ってきたヨーロッパの中銀(特にフランス)などがここ1年半近くほとんど市中で売却を進めないことを考えても、こういった中央銀行の動向は一時再び増加に転じていた鉱山会社のヘッジ動向と併せて、強気の材料として市場で捉えられるんでしょう、やっぱり。

また、今年のインドの今年の金輸入料が過去最高になる見通し、と同国の業界関係者のコメントも出てました。こういうフィジカル絡みの動きが出てくると、しばらく底堅く推移するんじゃないか、という予感もしてきます。

2011年8月20日土曜日

COTR グラフ

Non-Commercialのポジション推移。COMEX Gold and Silver

 

CFTC COTR as of 16-Aug11

19日のNY市場でゴールド相場は底堅く推移。朝方やや売られたものの、その後は株安やUSD/JPYが最高値更新したことが示すように、市場のリスク選考の流れが一向に上向かないことなどを背景に積極的な売りは手控えられたようです。1750ドルでサポートされるかが目下のポイントとなりそうですが、ヒストリカル、インプライドボラティリティの上昇を鑑みれば投資家のリスク許容度が回復による大幅な調整の可能性は念頭に置くべきでしょう。まぁ早晩調整局面入りの可能性は想定しづらいですが。
なお、週間ベースではこれで7週連続の上昇で、2007年4月以来の長期上昇局面になりました。急激な上昇に目が向きがちですが、気がつけば2ヶ月近く相場上昇が続いています。

【CFTC COTR】
19日に公表されたCommitment of Traders Reportsのダイジェスト

COMEXゴールドの非当業者ポジションはネットで20万0086枚となり、買い越し幅は前週比で3487枚縮小。同ロングは26万3954枚と同4566枚増だったが、ショートが大きく増加(8053枚)した。

昨秋にはロングが30万枚を上回る水準まで積み上がっていたことを考えると、まだ増加余地があるだけに、週後半の急伸局面で大規模なショートカバーがあったのかに加えロング積み増しが来週以降の統計で示されるかは注目となるでしょう。

COMEXシルバーの非当業者ポジションはネットで2万1928枚。買い越し幅は前週比3540枚増加した。8月上旬の調整でロングポジションの解消が続いたが、前週の上昇局面では一転してショートカバーが上昇の背景にあった模様。ショートは同2944枚減少。マネージドマネーのショートポジションは同1178枚減少している。

2011年8月19日金曜日

欧州市場と雑観

LDN市場がオープンするやいなやいきなり買い上げられ1880ドルまで急伸したゴールドですが、さすがに上がりがきつすぎたか、その後は売りが出て1860ドル台まで下げました。ただ今日一日の流れを見れば、これでも総じて底堅いといった展開か。米国株価は主要インデックス先物が軒並み軟調ということもここまで積極的な売りが手控えられる背景にある模様。
NYの連中が出て来た後はCOMEXは売り物勝ちとなり、side by sideの取引開始後1850ドル台前半まで下げましたが、やはり他市場の様子見のムードは強い模様。本稿執筆時点(22時25分)では再び1860ドル台半ばまで反発といった具合ですが、この後の株価の動向次第でまた午後にかけて大きく動く可能性も考えられるんじゃないでしょうか。

【雑観】

最近の貴金属マーケットがどうしてこのように堅調に推移しているかを解説すれば、

A debt crisis in Europe and a downgrade of the US credit rating have in recent weeks only aggravate fears about the global growth slowdown. While boosting the value of bullion, the darkening macro picture has dramatically altered fundamentals of precious metal investing.

みたいなのがイチバンもっともらしい答えなんだろうきっと。

今週、T-Noteの利回りが過去最低の2%割れまで低下したことからも、safe-havenと呼ばれる動きは市場で活発であり、ゴールドマーケットにもその一部は向いているのだとは思う。また国内メディアでも再三取り上げられているように爆買い中国人がアジアのフィジカル市場で目立っているのも事実だし。
ただ、注意しなければならないのは、COMEXではファンドとみられる小口の買いが仕掛け的な動きを繰り返しているわけで、決して大口の買いがドーンと相場を大きく押し上げるような買いを連発しているわけではないということ。
ファンドのロングが高水準まで積み上がってることからも超強気一辺倒に見えるセンチメントも市場のリスク許容度の改善と共に急転換もあり得るわけで、いつ急落して不思議でない状況なのです。
とはいえ、来週もきっと強いんだろうなぁ・・・。となかなか逆張りも難しい局面でもあるわけです。

止まらない上昇相場

【19日の貴金属市場】
金相場は過去最高値を更新。前日のNY市場では「世界経済に対する懸念から株価が大幅安となったことで逃避需要が高まった。(Bloomberg)」とのことだが、明け19日のマーケットでも前日のNY株の大幅安の余波を受けた株価下落に加えて、欧州の銀行は十分な資金を持ち合わせていないとの観測などのCDS市場の動向を眺め、さらに買いが膨らみアジア時間オープンからほぼ一本調子の上昇相場に。
超高値圏であるにもかかわらず、依然中国勢を中心とした現物買い需要が旺盛なことに加えて板が薄い時間帯にCOMEXに仕掛け的な買いが有ったことから値を飛ばし、さらにそれを見たLDN勢と見られる買いが日本時間PM4時以降に続いたことが背景。スポット市場は一時前日比40ドル超高となる1868ドル台でBidされる展開となった。
また、これに追随する形でその他貴金属も軒並み上昇。とりわけプラチナの上昇幅が大きい。TOCOMでの個人投資家を中心とした買い姿勢がやや強まったことで国内商社などのアービトラージ関連のスポット市場買いがその要因となった。